ANALYSIS / ESTIMATE COMPARISON

相見積もりで40万円違った。
その差は「見えない場所」にありました

株式会社蒼技研 編集部

相見積もりの疑問

リフォームを考えて、2社、3社から見積もりを取った。並べてみたら、金額が大きく違っていた。安いところで50万円、高いところで90万円。ときには倍近く。

A社(詳細明細)90万円
VS
B社(一式表記)50万円

同じ工事のはずなのに、なぜこんなに違うのか。そして、いちばん知りたいのはこれです。「安いほうを選んで、いいのか。」

結論

金額の差は、たいてい「工事範囲の差」です。「同じ工事の値段の差」ではありません。

つまり、比べているつもりで、実は別の工事を比べている。だから、正しい問いはこうなります。「どちらが安いか」ではなく、「この差額の分、何をするのか・しないのか」。

実際にあった、40万円の差

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」に、こんな相談が寄せられています。

築20年の中古マンションを購入してリフォームするため、2社から見積もりを取った。比較したところ、A社のほうが細部にわたって詳細な見積もりだった。両者の仕様で大きく違うのは、床下断熱材を入れるか入れないかで、40万円の差が出ている。A社は、床をフローリングにすると冷えるので断熱材を張ったほうがよいと言っている。本当に断熱材を張ると暖まるのか。業者選定で考えておくことがあれば教えてほしい。

(出典:住まいるダイヤル 電話相談事例)

40万円の差の正体は、断熱材でした。安いB社が手を抜いていたわけでも、高いA社がぼったくっていたわけでもありません。A社は断熱材を入れる前提、B社は入れない前提。やる工事が、そもそも違ったのです。

もし施主が金額だけを見てB社に決めていたら、「安く済んだ」と思ったまま、冷たい床の家に住むことになったかもしれません。逆に、断熱が不要な条件なら、A社の40万円は払わなくていいお金でした。どちらが正解かは、金額表からは絶対にわかりません。

差が生まれる、4つの場所

相見積もりの金額差は、だいたい次のどれかから来ています。

  1. 工事範囲

    いちばん多い原因です。外壁塗装を例にすると——外壁だけを塗るのか、雨樋や軒天も塗るのか、足場は含むのか、ひび割れ補修やシーリングは入るのか。これだけで金額は大きく変わります。同じ「外壁塗装」という名前でも、中身が違う。

  2. 見えない部分をどう見込んでいるか

    さきほどの断熱材や、床下・壁の中の補修。開けてみないとわからない部分を、あらかじめ見込んでいる会社と、見込んでいない会社があります。見込んでいない見積もりは安く見えますが、工事が始まってから追加になることがあります。

  3. 材料と施工方法

    同じユニットバスでも、機種が違えば値段が違う。同じ塗料でも、グレードで持ちが違う。「一式」としか書いていないと、ここが見えません。

  4. 会社の体制

    自社の職人が施工するのか、下請けに出すのか。下請けに出せば、その分の費用が乗ります。保証や保険をつけているかどうかでも変わります。

安い見積もりが
「本当に安い」とは限らない

ここが、いちばん誤解されるところです。安い見積もりには、そこに書かれていない工事が隠れていることがあります。

たとえば「解体してみたら下地が傷んでいた」。最初の見積もりに下地補修が含まれていなければ、ここで追加費用が発生します。最終的に、高かったはずのもう一社と同じか、それ以上になることも珍しくありません。

国民生活センターにも、見積もりに含まれていなかった追加費用をめぐるトラブルの相談が寄せられています。安いのが悪いのではありません。「なぜ安いのか」がわからないまま選ぶのが危ないのです。

理由が「うちは下請けを使わないから」なら、その安さは信頼できます。「見えない部分を見込んでいないから」なら、後で足が出ます。同じ安さでも、意味が正反対です。

相見積もりを、
正しく取るために

住まいるダイヤルや専門機関の助言を交え、比較で失敗しないためのポイントをまとめました。

  • ① 全社に、同じ条件を伝える

    これをしないと、比較が成立しません。「トイレを新しくしたい」だけだと、A社は便器交換だけ、B社は内装込みで見積もる。金額が違って当然です。要望はメモにまとめて、全社に同じものを渡してください。

  • ② 現場を見ないで見積もる会社は、避ける

    住まいるダイヤルも、きちんと現場を見に来る業者であることを前提に挙げています。現場を見ずに出した金額は、後で必ずずれます。

  • ③ 「一式」の中身を、一行ずつ聞く

    金額ではなく、範囲を確認する。含まれないものを聞くのがコツです。

  • ④ 施工した家を見せてもらう

    住まいるダイヤルは、両社の施工物件を実際に見て、自分の目で確認することを助言しています。自信のある会社は、必ず見せてくれます。

  • ⑤ 社数は2〜3社にとどめる

    多すぎると比較しきれず、断りの連絡も負担になります。相見積もりは3社程度が適切とされています。

迷ったら、無料で見てもらえます

見積もりを並べても判断がつかないとき、公的な第三者に無料で見てもらえます。国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口で、一級建築士の相談員が対応します。

見積書を送れば、確認すべきポイントや注意点を後日、電話で助言してくれます。無料です。

(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

リフォーム会社に「この見積もり、どう思いますか」と聞くと、どうしてもその会社の都合が混ざります。中立の窓口があることを、知っておいて損はありません。

なぜ、私たちがこれを書くのか

「安く見せる」のは、実は簡単です。見えない部分を見積もりから外し、「一式」でまとめ、総額だけを低くすればいい。でも、それをやると、工事が始まってから施主と揉めます。「聞いていない」「言ったはずだ」の応酬になる。最初にきちんと分けて書いておくほうが、結局はお互いのためです。

そして、床下や壁の中に何を見込むべきか——それを判断するのは、現場を数多く見てきた人間の仕事です。安さの理由も、高さの理由も、説明できる会社を選んでください。

あなたの家の場合

もし、いま気になっていることがあるなら。

  • 2社、3社の見積もりを並べたが、金額が違いすぎて選べない
  • 安いほうにしたいが、後で追加費用が出ないか不安
  • 「一式」ばかりで、何が違うのか読み取れない

見積もりを持ってきていただければ、どこで差が出ているかをお伝えします。その結果、うちに頼む必要はありません。差の理由がわかれば、ご自身で判断できます。

蒼技研は長野県中野市の会社です。現場を見て、床下も壁の中も含めて、何が必要で何が不要かをお話しします。

もし、まず公的な窓口で確認したい場合は、上の住まいるダイヤルへ。そちらが早いこともあります。

参考にした資料

  • 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)
    電話相談事例「リフォームの見積もりをとったら、仕様・金額が違う。業者をどう決めればよいか。」
    https://www.chord.or.jp/case/detail/detail_6424.html
  • 国民生活センター(追加費用・契約トラブルに関する見守り情報)
  • 国土交通省 住まいの安心総合支援サイト「リフォーム見積チェックサービス」

※本記事の内容は2026年7月時点の情報です。各制度・窓口の最新情報は公式サイトをご確認ください。

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