見積書の「木工事一式 100万円」。
この中身、説明できますか?
見積書の見方
手元に、リフォームの見積書があるとします。総額の下に、こう書かれています。
数字は合っています。総額も予算内です。では、この「木工事手間 105万円」で、何をしてもらえるのでしょうか。答えられないなら、まだ契約してはいけません。
結論
「一式」が悪いのではありません。「説明を求めても出てこない」ことが問題です。
見積書の書式は会社によって違います。決まった形式はありません。だから一式表記そのものは、直ちに不正ではない。ただし——明細を求められたときに出せるかどうかで、会社は割れます。
実際に、こういう相談があります
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」に、次のような相談が寄せられています。
築30年になる住宅のリフォームをするため、3社から相見積りをとった。市のリフォーム助成制度を利用したいので、申請期限内に事業者を決めなければならない。3社のうち金額が一番安い事業者に依頼しようと思っているが、一式項目が多く気になっている。事業者からは「これ以上詳しい明細は出せない」と言われており、心配なので見積書をチェックしてほしい。
(出典:住まいるダイヤル「リフォーム見積チェック事例」)
今後のチェックポイント
複数社から見積もりを取る「相見積もり」の際は、単に総額の安さだけで選ぶと、後から見えない工事の追加費用で後悔するケースがあります。各社の一式表記の中身を揃えて比べることが大切です。
この相談に対して、センターの助言はこうでした。
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「木工事手間」が一式で100万円以上になっている
これでは工事内容・工事範囲が不明確なので、それが明らかになる明細が必要である。
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決まった書式しか作れない、は理由にならない
事業者によっては決められた書式の見積書しか作成できない場合があるが、そのことは工事内容について詳細な説明をしなくてよい理由にはならない。明細が出せないのであれば、図面や仕様書などで工事内容・工事範囲を明示してもらい、説明を受けること。
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着工までに70%の支払いになっている
工事の出来高に応じた支払いになるよう、事業者に申し入れること。
“都合の悪いことに対して応じてくれない事業者は、リフォーム工事中や工事後に問題が生じても、対応が十分になされない可能性がある。”
見積書は、金額の紙ではありません。その会社が、これからどう振る舞うかの予告編です。
「木工事一式」の中に、
本当は何が入っているのか
木工事は、リフォームで最も金額が動き、最も中身が見えない項目です。一般に、木工事の明細を出すなら、こうした要素に分かれます。
このどれが含まれ、どれが含まれないのか。それが「一式 105万円」からは読み取れません。
一番怖いのは、下地の補修です。床を剥がしてから「根太が腐っていました。追加で30万円かかります」と言われる。もし最初の見積もりに「下地補修は含まない」と明記してあれば、その追加は誠実です。何も書いていなければ、含まれていたはずだと主張することもできる。
書いていないから揉めるのであって、金額が高いから揉めるのではありません。
蒼技研のスタンス
何にどれだけの木材と手間(大工の工数)がかかるかを最も熟知しているのは、現場に立つ職人自身です。だからこそ蒼技研では、目に見えない木工事の内訳もできる限り透明化し、お客様に責任施工でご説明しています。
「諸経費」は、聞いていい
諸経費、現場管理費、一般管理費。名前はいろいろですが、中身は現場監督の人件費、通信費、車両費、保険料、会社の維持費などです。工事費全体の10〜15%程度で設定している会社が多い、と一般には言われます(※これは複数の民間情報源で示されている目安であり、公的な基準ではありません。工事の規模や内容で変動します)。
割合そのものより、聞いたときの答え方を見てください。「会社の経費です」で終わる会社と、「現場管理と、廃材の処分と、保険が入っています」と答える会社。同じ金額でも、後者のほうが工事も丁寧です。
そのまま使える、
3つの質問
見積書を受け取ったら、この3つを聞いてください。
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「この一式には、何が含まれていて、何が含まれていませんか」
含まれていないものを聞くのが要点です。含まれるものは誰でも答えられます。
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「開けてみて傷んでいたら、どうなりますか」
追加費用の可能性を、契約前に言葉にさせる。「そのときは相談させてください」で構いません。何も起きない前提で話す会社が危ない。
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「支払いのタイミングを教えてください」
着工前に大半を支払う条件になっていないか。センターも、出来高に応じた支払いを申し入れるよう助言しています。
最初のコンタクトでの心得
見積もりを依頼する前の段階(最初の電話など)で、「一式表記の細かい内訳や、追加工事の基準について確認したい」と伝えた際の、業者の対応スピードや誠実さからも、信頼できる会社かどうかが透けて見えてきます。
それでも不安なら、
無料で見てもらえます
これが、この記事で一番お伝えしたいことです。住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、見積書を無料でチェックしてくれます。
見積書や図面を送ると、一級建築士などの相談員が内容を確認し、助言してくれる仕組みです。国土交通大臣から指定を受けた公益法人で、特定のリフォーム会社の味方ではありません。
リフォーム会社に見積もりの相談をすると、どうしてもその会社の都合が混ざります。公的な第三者に見てもらえる窓口があることを、知らない方が多すぎます。
なぜ、リフォーム会社が
これを書くのか
「一式と書くな」「明細を出せ」と言うのは、私たち自身の首を絞める話です。明細を出すのは手間がかかります。開けてみないとわからない部分について、事前に言葉にするのは面倒です。
それでも書くのは、この記事を読んで質問してくる施主のほうが、工事がうまくいくからです。「木工事手間って何ですか」と聞かれたら、答えるべき会社が答える。答えられない会社が淘汰される。それだけのことだと思っています。
そして——木工事は、大工の仕事です。何にどれだけ手間がかかるかを、いちばん知っているのは現場に立つ人間です。
あなたの家の場合
手元の見積書に「一式」が並んでいて、聞くべきかどうか迷っているなら。
特に注意したいケース
突然の訪問で「屋根や床下が歪んでいる。今なら一式〇〇万円で直せる」などと不安を煽り、詳細な明細も出さずにその場での契約を急かす『点検商法』のトラブルも増えています。決してその場では判を押さないようご注意ください。
- 手元の見積書に「一式」が並んでいて、聞くべきかどうか迷っている
- 3社から見積もりを取ったが、書式がばらばらで比べられない
- 「これ以上詳しくは出せない」と言われて、引き下がってしまった
見積書を、そのまま持ってきてください。他社の見積書でも構いません。読み方をお伝えします。その上で、うちに頼む必要はありません。
蒼技研は長野県中野市の会社です。屋根も、床下も、木工事も、自分たちの目で見て、自分たちの手で直します。
もし、まず公的な窓口で見てもらいたい場合は、上の住まいるダイヤルへ。そちらのほうが早いこともあります。


